設備管理・保全
注目記事
装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.1
2025.04.01
鋼製ボルトは「強度が高いほど締結の信頼性が高い」と考えられがちである。しかし、実はそうでない場合もある。例えば、大気中や水溶液中で1,200MPaを超える高強度のボルトを用いると、使用中に軽度の腐食が発生するととともに、同時に水素を吸収して脆化し、最終的なボルトの破断に至る場合がある。 これは、図に示すように、材料の強度が高いほど水素脆化感受性が高いためである。この理由は、強度が高いほど応力集中部(ボルトの場合にねじ底)に高い応力を受けることになり、その応力集中部に吸収した水素が拡散により集中し、脆化するためである。 また、使用環境により吸収される水素量は変化し、大気中での腐食では、図中に示すように鋼材に1ppm程度まで水素を吸収する可能性があるとされている。水素脆化によるボルトの破断を防止するためには、基本的により強度の低い鋼材を選定することが妥当である。経験的に、強度1,000MPa以下の鋼材の使用が大気中では妥当とされている。 なお、鋼材の腐食を抑制するために犠牲陽極作用を期待して、亜鉛粉を含む塗料(ジンクリッチペイント)を採用することは、かえって鋼材の水素吸収を加速する可能性が高く、避ける必要がある。
2024年度 外注技能工の単価調査の概要
2025.04.15
日本プラントメンテナンス協会(以下、JIPM)では、主に装置型産業の設備ユーザーを対象に、メンテナンスサービス・工事に関する「外注技能工への支払い単価」を地域別、職能別、および経年的に把握することを目的に、1989 年以降、当会にて年に1 回(1998 年までは年4 回)実施しています。調査結果は、設備ユーザー側からの支払い価格であるという点で、高く評価されており、生産設備以外のエネルギー等の供用設備や施設の保全に対しても効率化が求められている今日、本調査結果の利用先が拡大しています。本稿では2024年12月に完成した「2024年度外注技能工の単価調査報告書」の概要を紹介します。
ものづくり屋視点による労働衛生の実践 No.1 『労働衛生は、働く仲間の“健康保全”』
2025.04.15
労働衛生という言葉に出会ったことがあるだろうか。50人以上の事業場では衛生管理者の選任が義務付けられているので関係者ならば分かると思う。ならば、TPM8本柱の活動の中ではどこに含まれるのだろう。「安全・衛生・環境に決まってる」と言われるかもしれないが、試しに、「TPM」「労働衛生」で検索してみてほしい。筆者がトライした限りでは8本柱、安全・衛生・環境までは出てくるが、「労働衛生」という言葉は見付からない。 筆者はTPMが好きだ。労働衛生は「予防保全」だと思っている。結果だけを追うのではなく、設計とプロセスを重視し、モニタリング結果により、是正・改善をねらうからだ。しかし「安全」には微妙に違和感を覚える。罰当りな物言いかもしれないが、言い訳をさせてもらえるならば2つある。 1つは、半世紀近く安全衛生関係の仕事に関わってきて、残念ながら「安全第一」というだれもが否定できない文言を拝しながら「理論的ではないモノ・コト」に、しばしば遭遇したことによる。年齢を重ねて考えてみれば、「安全」という文言から想起される領域や文化的背景が、広く深いために生じる(良く言えば)多様性の反映なのかとも思われるが、少なくともTPM8本柱に明記されているのだから、予防保全的な方法論として深堀りされるべき課題がありそうだ。 2つ目は、労働衛生という分野や課題が理解されにくいのか、「安全」や「環境」の中に埋もれ混同されることに対する僻みと思っていただいて構わない。 筆者は現在、労働安全衛生法第81条第2項に規定される労働衛生コンサルタントとして、働く仲間の現場と関わりをもっている。僻みを重ねるならば、労働安全コンサルタントは同条第1項(先に)にあり、別のカテゴリーであるので、「一緒くた」にして欲しくないし、互いに登録分野以外の診断や指導を行うことはできない。 今回の寄稿の依頼は、当初安全衛生についてであったのだが、わがままを受け入れてもらい、労働衛生に“偏って”TPM同志諸兄に語らせていただくことにした。依頼者とは「同床異夢」かもしれない不安を抱きつつも、話題提供させていただきたいと思う。
装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.5
2025.06.01
図に模式的に示す多管式熱交換器(以下熱交と略す)は、化学プラントで多く用いられるタイプの熱交である。熱交を設計する場合に、腐食性のある流体をシェル側に流すことは、原則として避ける必要がある。すなわち多管式熱交では「腐食性流体はチューブ側に流す」を原則とする。それは、図に示すように、シェル側に腐食性流体を流すと、バッフル近傍や管板近傍で滞留部が生じるため、流体の流れを均一に一定以上の速度で流すことが不可能であり、かつ伝熱管表面の付着物や腐食生成物を定期修理時などで物理的に洗浄することが困難であり、更に腐食が発生した場合の非破壊的な検査が管内側に流体を流す場合に比べ困難になるためである。 これは、伝熱管が炭素鋼の場合も、ステンレス鋼の場合も同様である。 プロセス流体に腐食性が無い場合は、冷却水は炭素鋼やステンレス鋼に対して腐食性があるため、これをシェル側に流さず管内側に流した方が、以上の種々の課題に対応する上で望ましい。このような設計段階での配慮が、熱交の信頼性やメンテナンスの負荷に大きく影響する。ただし、プロセス側流体にも腐食性が有る場合や、プロセス側流体に重合やスケーリングの発生がある場合には、それらの流体をチューブ側に流さざる得ないため、冷却水をシェル側に流す場合もあり得る。その場合は、熱交のタイプを固定管板式からU字管式や遊動頭式などのチューブバンドルを開放できるタイプへ変更し、洗浄や検査を行い易くすることが考えられる。また、冷却水側からの腐食を抑制するため伝熱管の材料を炭素鋼からステンレス鋼へ変更や、ステンレス鋼でも冷却水側からの応力腐食割れの発生を抑制するためSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼から、SUS329などの2相系ステンレス鋼へ変更するなど、材料面からの腐食抑制策を選択することを行うことが妥当な場合もある。
記事一覧
「自主保全」のススメ~自分の設備は自分で守る~①
2025.04.15 無料会員
ものづくり屋視点による労働衛生の実践 No.1 『労働衛生は、働く仲間の“健康保全”』
2025.04.15 無料会員
「TPM」とは?
2025.04.03 無料会員
指標でモノづくりを評価しよう! #1 設備総合効率(OEE)
2025.04.01 無料会員
装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.1
2025.04.01 無料会員
第1回 摩擦と潤滑油
2025.04.01 無料会員
第1回 玉掛けの力学(その1)
2025.04.01 無料会員
数字で見る、保全人材育成の必要性 ~2023年度メンテナンス実態調査より~
2025.04.01 無料会員