技術・技能
注目記事
装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.1
2025.04.01
鋼製ボルトは「強度が高いほど締結の信頼性が高い」と考えられがちである。しかし、実はそうでない場合もある。例えば、大気中や水溶液中で1,200MPaを超える高強度のボルトを用いると、使用中に軽度の腐食が発生するととともに、同時に水素を吸収して脆化し、最終的なボルトの破断に至る場合がある。 これは、図に示すように、材料の強度が高いほど水素脆化感受性が高いためである。この理由は、強度が高いほど応力集中部(ボルトの場合にねじ底)に高い応力を受けることになり、その応力集中部に吸収した水素が拡散により集中し、脆化するためである。 また、使用環境により吸収される水素量は変化し、大気中での腐食では、図中に示すように鋼材に1ppm程度まで水素を吸収する可能性があるとされている。水素脆化によるボルトの破断を防止するためには、基本的により強度の低い鋼材を選定することが妥当である。経験的に、強度1,000MPa以下の鋼材の使用が大気中では妥当とされている。 なお、鋼材の腐食を抑制するために犠牲陽極作用を期待して、亜鉛粉を含む塗料(ジンクリッチペイント)を採用することは、かえって鋼材の水素吸収を加速する可能性が高く、避ける必要がある。
装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.2
2025.04.15
プロセス開発や既設プラントの材料変更を検討する際に、図に模式的に示すように試験管内などで金属材料の浸漬試験を行った結果を論拠とされる場合がある。しかし、その試験結果は、安易に信じない方が良い。 その原因は、以下に例示するように、試験管中などの様に、少量の溶液での浸漬試験では、金属の腐食反応により試験環境が変化し、多量の溶液を取り扱う実機の腐食環境と異なる結果が得られている可能性が高いからである。 実際の環境では金属表面積に比較して、多量の溶液が存在し、腐食反応により環境条件が変化することは、ほとんどない。 たとえば溶存酸素が共存した溶液環境で以下に示す反応により、腐食反応にともない溶存酸素(O2)は消費され(その濃度が低下)、溶液のpHは上昇する。ここでe–は、金属の溶解反応により金属内に存在する電子を示している。
第1回 摩擦と潤滑油
2025.04.01
RMFジャパン株式会社久藤 樹
第147回「コンピュータの乱数 と 乱数の再現性」
2025.06.01
わたしの旧twitter(X)にはいろいろな技術情報が流れてきます。気になったものはその情報をたどって詳細を確認するのですが、少し前に「乱数をつくる」手法が流れてきました。メカトロの専門の範囲で、また様々な目的で、乱数を使うため関心対象です。生産設備などを動かすときにランダムさは無縁そうに見えますが、ロボット分野では乱数を使う手法が様々ありますし、我々の日常でも乱数のお世話になっています。 乱数、乱数列は、文字通りランダムな数値です。それまでに出てきた数値列から、次に出る数値は予想できません。乱数を得るという作業(サイコロをふるとか、関数の実行など)のたびになにか数値を得ます。一方、一般的なコンピュータの計算にはランダムな要素がないため、コンピュータのプログラムで作り出した乱数は、乱数っぽく見えても何か規則があって、かつ非常に長い周期の繰り返しがあり、擬似乱数と呼ばれます。 擬似乱数にはいくつもの生成方法が提案され、使われています。それら方法を比較するための主な評価指標は、計算の手間と乱数としての性質の良さです。前者については、たまにしか使わないものであれば負担になりませんが、ランダムな信号の生成では使用回数が多くなりますし、ロボット制御分野にもひたすら乱数を使うような手法があり、その場合は簡単な演算で済むに超したことはありません。後者はどのくらい本来の乱数の性質に近いかという観点で、単純にはその繰り返しの周期の長さ、ある程度の数量の乱数を作った時にその列から次の値を予想し得るかどうかなどがあります。 コンピュータの乱数はちょっとしたゲームを作ろうとしたときなどにも(たとえばじゃんけんでも)必須なので、私はプログラムを作るようになった早い段階から触れていました。プログラミング言語標準の乱数ではしばしば、「0~ある上限」までの整数が一様に出てくるため、たとえば、{1,2,3}から一つ出るものが欲しいという場合は、 (得た乱数÷3の余り)+1のような計算をします。この使い方をしたときにも綺麗な乱数かという観点もあります。 あるとき、画面上で上下左右にランダムに動き回る点をつくろうとしました。4で割った余り(より正確には下位2ビットを使用)の0123で4方向を決めるプログラムを書いて実行したところ、動きません。正確には、上下左右の動きを規則的に繰り返して、小さな往復運動をしていました。当時は乱数とはランダムなもので、このような現象が起き得るという知識はなかったため、移動方向を画面に連続して表示させて現象を特定しても何が悪いのかわかりませんでした。ふと、「5で割って余り0123は移動、4は乱数出し直し」としてみたらランダムっぽく動き回ったので、そのときはそれで良しとしました。擬似乱数の方式によってはこのような問題があることを知ったのは、ずっと後のことでした。 技術全般に「いいところしかない」なら、特許等の制約がないなら、その手法が席巻するはずですが、複数が共存しているのは利点欠点の取捨選択があるためです。冒頭の、流れてきた手法は原理を理解しきれませんでしたが、小型のマイコンで動かすのにも軽そうな方法に見えました。
記事一覧
サステナブルなモノづくりのために No.99
2025.06.02
第3回 玉掛けの力学(その3)
2025.06.02
装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.5
2025.06.01 FREE
第147回「コンピュータの乱数 と 乱数の再現性」
2025.06.01
せつびさんとカンリさんの「モノづくり品質の基本のキ」#2 なぜ、「コンプライアンス不正」は起こるの?
2025.05.15
第2回 玉掛けの力学(その2)
2025.05.01
装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.3
2025.05.01
第146回「シャッフルされた学生番号とハッシュ」
2025.05.01
第2回 潤滑油の組成
2025.05.01
サステナブルなモノづくりのために No.98
2025.05.01
装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.2
2025.04.15
せつびさんとカンリさんの「モノづくり品質の基本のキ」#1 品質ってなぁに?
2025.04.15 無料会員